当院からのお知らせ
2021年秩父地域と新型コロナ(10)
5月に入り暖かい日が続いています。街中の家々にも色々な花が飾られとてもきれいな季節になりました。
新型コロナの状況は非常に深刻なニュースが日々報道されています。変異株の流行に伴い今まで以上に急速な感染拡大がみられており、大阪を中心に既に多くの助かる可能性のある命が助からない状況が出て来ています。
今回はGW前から東京・大阪・京都・兵庫に緊急事態宣言が出され、連休中の人の流れを止める事が目標とされました。しかし、結果的には人の流れを大きく止めることはできませんでした。年末年始には多くの人が移動したことで年明けに大きな第3波が来てしまいましたが、今回もGWを越えて感染地域が全国に拡大することが予想されます。GWには秩父地域にも多くの人の出入りがありました。その影響は今週から来週にかけて明らかになってくる可能性があります。この2週間は普段以上に秩父地域内でも感染するリスクがあると考えて、感染対策の徹底をお願いします。
特に連休に地域外に出かけたり、地域外の人と接触した方は体調の変化に注意していただき、風邪症状などの不調を感じた場合には無理をせず、早めに医療機関に相談していただく様お願いします。感染者を早期に発見して集団感染を予防する事がとても重要な時期です。
《新型コロナウイルスワクチンの接種について》
秩父地域でもなかなか予約が取れないという問題が起こっています。新型コロナウイルスワクチンは今までのワクチンに比べて超低温の管理が必要であったり、ワクチン数に余裕がないことなどから主には予約センターからの予約が必要となっています。窓口を一本化することで確実に予約分のワクチンを供給していくためです。また、各医療機関にワクチン予約の為の来院や電話が殺到すると通常診療に大きく支障が出る為、そのような流れになっています。ワクチンは今後十分量供給される様なので、是非焦らずに冷静な対応して頂きたいと思います。
・医療機関でも個別接種の準備が進んでいます。コロナワクチン接種の為には、接種場所や時間の確保、ワクチン管理の準備、救急対応の準備や新しい事務処理の準備などが必要になっています。どこで接種しても安全に対応できる様、各医療機関が工夫を考えながら準備を進めている状況です。
・行政の方では集団接種の準備や予約の円滑化に向けての準備が進められています。既に顕在化している問題点も含め、日々改善策を検討し、予防接種を加速する為に努力されています。
・秩父地域は元々医療従事者の数に限りがあります。地域の医療者達は通常診療以外にも特定健診や学校医・産業医業務、休日診療業務や介護保険認定委員会など多くの業務を兼務しています。ワクチンは最優先すべき重要な仕事ですが全てをそこに注いでしまうわけにはいきません。接種体制には限界がある為、ある程度期間を要することもご理解ください。
⦅地域の皆さんにお願いしたい事⦆
・新型コロナワクチンはなるべく多くの方に受けて頂きたいと思っています。同時に皆さんには打てませんが、受けられない事情のある方以外は是非接種をご検討ください。
・予約が開始されたばかりで予約センターには問い合わせが殺到しています。現時点では秩父地域の65歳以上の接種は5月から8–9月末に完了する方向で計画されています(なるべく完了を早める方向で検討されています)。65歳以上の方の中でも基礎疾患のある方や80歳以上の方、、デイサービスやショートステイを利用されている方、超高齢者の介護をされている方などはなるべく早期の接種が望まれます。それぞれの生活状況や体調によって、ご自身がいち早く接種すべきなのか、8月位までは接種を待つことができるのか考えて予約をしていただきたいと思います。
・保健センターや市町役場は対応に追われている状況です。日々大変な努力をされています。現状での予約システムや接種体制に改善の余地があることは確かですが、どうか長時間の抗議などは控えて頂き冷静に対応して下さい。
・現在第4波の真っ最中です。秩父地域はまだそれほど感染者は多くなっていませんが、連休明けから連日新規感染がでている状況です。既に東京都や県南地域は医療の状況も厳しくなってきており、秩父地域で大きな流行が起きても他の地域の助けを借りることは難しくなっています。秩父地域で感染拡大を起こさない様、個人個人の感染対策の徹底をお願いします。
海外の状況を見ると、ワクチン接種が進めばかなり行動制限は緩和する事ができそうです。世界中の新規感染が減少すれば、変異株の出現もそれほど多くは見られなくなるはずです。(感染者が多ければ多いほど変異の確率は高くなります。)無事多くの人のワクチン接種が完了するまで、被害をなるべく早く小さくする様、みんなで頑張っていきましょう!
婦人科臨時休診のお知らせ(5月15日)
2021年5月15日(土)
婦人科診療(院長診療)を臨時休診とさせていただきます。
内科診療は行います。(婦人科で通院中の方でお薬が切れてしまう方は受付にてお声がけください。)
新型コロナウイルスワクチン接種しました
全国的に新型コロナウイルス感染が拡大しています。正式に『第4波』に突入し、埼玉県もさいたま市・川口市などはまん延防止等重点措置の適応になりました。今回の波はイギリス株といわれる変異株が主体になっており、明らかに今までと比して急速に拡大しています。
3月に東京都では最悪の場合GW前に新規感染者が650人/日を超えると試算されていましたが、4/17現在すでに750人/日を超える程になっています。大阪兵庫はすでに危機的な状況になっており、これ以上の拡大は何としても食い止めなければなりません。
秩父地域にも今後も変異株の流入があると思われます。都心部への外出、地域外の人との飲食を伴う交流は極力控えていただくようお願いします。現時点で変異株だけを予防する方法はありません。新型コロナウイルス全体の感染を防ぐことで変異株拡大を何とか防がなければなりません。感染防御の方法としては今までと大きな変わりありません。『マスク』『手洗い・消毒』『換気』『3密の回避』を今まで通り徹底していただくことをお願いします。
秩父地域でも医療従事者へのワクチン接種が進んでいます。
医療従事者は
①発熱などの風邪症状の方の診療を行うため、新型コロナウイルス感染者と接触し感染する可能性が高い。
②医療機関で新型コロナウイルスが発生した場合に通常の医療がストップしてしまう為、他の病気の治療ができないなど、患者さんに別の健康被害が出てしまう可能性がある。
③一般の方へのワクチン接種を行う際に、万が一医療従事者感染していると接種を受ける人達に集団感染させてしまう危険性がある。
という点から優先接種の対象となっています。
私は3/25に一回目、4/15に二回目のワクチン接種を受けてきました。すでに色々な方が書いていますが、皆さんが今後受ける際の参考になればと思い、体験談を書いてみます。ちなみに私は恐らく副反応が強く出た方だと思います。でも事前に友人や兄弟から体験談を聞いていたので大きな不安は感じずに過ごすことができました。副反応は出るものとして、冷静に受け止める準備をしておくことが重要だと感じました。
《ワクチン接種1回目》
(当日)初めて受けるワクチンということもあり、接種日は朝から少しドキドキしていました。秩父病院で午後2時からの接種予定だったので、20分前位に着くように行き、受付と問診を受けました。その後待合室で待機していましたが、実は筋肉注射で予防接種を受けるのは初めてだったので『注射する時痛いのかな?』という不安が少しありました。(新型コロナウイルスワクチンは上腕の筋肉に筋肉注射で接種します。)看護師さんに呼ばれて接種場所に入ると、名前の確認をされました。看護師さんが「力を抜いて腕を降ろしていてください。針を刺して腕がしびれたりしたら言ってください」とやさしく声をかけてくれました。注射自体は驚くほど痛みはありませんでした。インフルエンザワクチンなどは皮下注射と言って皮下の脂肪に注射しますが、それに比べて痛みは1/10程度という感覚でした。新型コロナワクチンは注射液の量も0.3mlと少なめなのでそれも痛みが少ない一因かもしれません。接種後は15分間待合室で待機しました。接種後にアレルギー反応が出ることがあるので、ここでも少しドキドキしていましたが特に何も起こりませんでした(元々花粉症はひどいですがそれ以外のアレルギーはありません。)。15分の待機後、接種証明書をもらい車に戻りました。帰りの車では運転中になんとなく顔がほてってフワフワする感じがしましたが、気にしすぎだったかもしれません。1時間ほどで気にならなくなりました。その後は普通に生活をしていて特に問題はありませんでしたが、接種後5時間くらいで接種部位の痛みを感じるようになりました。打ったところの筋肉を動かすと痛みがあり、『あまり腕を使いたくないな』という感じでした。普通に入浴もしましたが、念のため接種部位はお湯につけないようにしました。その後も徐々に痛みが強くなり、夜寝るときには接種部位を下にして寝るのはつらい感じでしたが、夜間は特に起きることもなく良く寝れました。
(翌日)起床時から腕の痛みがありました。注射した方の腕は45度くらいから上にあげるとかなり痛みがあり、重いものは持ちたくない感じでした。軽い頭痛とだるさを感じました。腕の痛みが強かったので朝食後にカロナール(解熱鎮痛薬)を飲みました。その後仕事を始めて集中していると痛みもさほど気になりませんでしたが、腕を上げると痛いのは一日中続いていました。発熱などはなく、腕の痛み以外は特に気になる症状はありませんでした。
(二日目)起床時から腕の痛みはかなり軽くなっていました。強く抑えたりしなければ気にならない程度になっていました。体調も特に問題なく普通に生活できました。
《ワクチン接種2回目》
私より前に接種を受けた兄弟や友人から「2回目の後は辛い」と聞いていました。報道でも1回目より2回目の方が接種後の副反応が強く出ると言われていたので『2回目こわいな~』と思っていました。
(当日)接種自体は1回目と同じ流れだったので特に緊張はしませんでした。1回目同様接種時の痛みはほとんどありませんでした。接種後15分間も特にアレルギー症状はなく無事終了しました。(秩父病院の裏口を出た時には別所方面の山の新緑が本当にきれいで感激しました。)2回目も接種後1時間くらいで顔がほてるような感覚がありましたが、30分ほどで気にならなくなりました。その後しばらくは普通に過ごしていましたが、接種後5時間くらいで接種部位の痛みが出てきました。また頭痛と軽い吐き気も感じました。夜にかけて痛みは強くなりましたが、1回目と大きな違いはなく、その日は早めに就寝しました。
(翌日)起床時から全身の筋肉痛を感じました。注射した左腕と全然関係ない右手や背中、両足のすねなどに筋肉痛を感じ、動き出すのが大変でした。全身のだるさと寒気もあり、高熱が出る前の様な症状でした。朝食を食べてから、カロナールを内服しました。徐々に薬が効いて午前中はだるさを感じつつも仕事中はいつも通りに動くことができました。昼休みに昼食を摂ると、だるさが悪化し強い寒気がでてきました。30分程度横になって休みましたが、その後に起き上がるのはかなり大変でした。午後の仕事があったので再度カロナールを内服しました。仕事が始まると緊張感でだるさは多少軽減していましたが、普段と比べるとかなり動くのが辛い感じでした。接種部位の痛みは1回目と同じくらいありましたが、それがあまり気にならないくらい全身がきつい感じでした。夕方仕事が終わると、緊張の糸が解けて一気にだるさが強くなりました。熱も37.8℃くらいになり、吐き気と腹痛もありました。夕食は摂取できましたが、この日も早めに就寝しました。(体感的に2回目接種の翌日は運転や高所作業など危険を伴う仕事は控えた方が良いと思いました。)
(2日目)前日と比べ起床時からかなり体が楽になったと感じました。だるさがほぼなくなり、全身の痛みも2割程度に軽減しました。ただ、左のわきの下の痛みが新たに出現しました。(新型コロナウイルスワクチンでは接種した側の腋窩リンパ節が腫れることがあると言われており、リンパ節の痛みだと思います。)午前中から夕方までいつも通りに仕事をしていました。夕方に仕事が終わると非常に強い全身のだるさを感じました。頭痛・吐き気があり、それまでは感じなかった左胸の痛みも感じました(この痛みの原因はわかりません。不整脈などはありませんでした。)。起きているのがしんどくて、帰宅後家事などは何もできない状態でした。何とか夕食を摂り、短めの入浴をして、この日も早めに就寝しました。
(3日目)ちょうど休日だったので少しゆっくり起きました。起床時から体調は良くなっており、体の痛みもほぼ消失していました。体が軽くなった気がしました。左わきの痛みだけが少し残っていましたが気にならない程度でした。だるさも取れたので羊山公園まで散歩して芝桜を見てきました。この日は夜まで体調が悪化することなく元気に過ごすことができました。
以上、新型コロナワクチン接種体験談でした。今回の体験談はあえて生々しく感じたままに書いてみました。皆さんもワクチンの副反応に不安を感じているかと思います。もちろん皆さんの不安を大きくするために書いたわけではありません。私自身副反応を体験してみて、起こりうる副反応として知識がなければとても不安だったと感じました。すでに打った人の話を聞いていたので、接種後2日間我慢すれば概ね回復すると信じて副反応を受け入れることができました。新型コロナウイルスワクチンは他のワクチンと比べて、接種後の副反応が多くて強いと言われています。それでも、効果を考えると十分に耐えて接種する価値のあるワクチンだと思われます。
現時点でファイザーのワクチンは、①感染を予防する効果②発症を予防する効果③重症化を予防する効果が確認されています。また、④接種後半年後も効果がありそう⑤変異株に対しても効果がありそうということもわかってきました。ワクチンの効果としては非常に高いと言われています。
また、これから先行して行われるのは65歳以上の方へのワクチン接種ですが、一般的に65歳以上の方は副反応が軽度だと言われています。実際に70代の父も私と同時に接種しましたが、1回目、2回目ともに強い副反応はなく、接種部位の痛みと軽いだるさがあるだけとのことでした。重症化の危険が大きい65歳以上の方は是非前向きに接種を検討していただきたいと思います。ワクチンの接種によって新型コロナの脅威から抜け出せる日が来ること信じて、是非皆さんに受けていただきたいと思います。接種をするかどうか迷っている方、不安を感じている方は受診時などにご相談ください。
羊山の芝桜はすでに見頃を迎えています。混みすぎない時間を狙って、人との距離に注意して是非見に行ってください!今年も素晴らしかったです。
2021年秩父地域と新型コロナ(9)
3月21日で二回目の緊急事態宣言が解除されました。それから二週間も経っていませんが、世の中はすでにざわついてきています。以前の記事にも書きましたが、解除の時期にはすでに全国の新規感染者数は増加傾向にありました。現在はさらにその状況が顕著になり、一部の地域では『まん延防止等重点措置』が実施されることになりました。一時は全国の新規感染者数は1000人を切るくらいになっていましたが、最近は3000人近くになってきています。関東圏でも上昇傾向は顕著になり、埼玉県は比較的粘っているもののじんわり増加傾向が見られています。
テレビでは『第4波が懸念される』『第4波の兆しがある』と報道されていますが、第3波の時もそうこう言っているうちに急速に拡大する結果になってしまいました。第3波では北海道・大阪・沖縄などでの感染増加がみられ、その後首都圏に拡大し、全国的に大きな波となりました。また、『重症者数が多くなっていない』という理由でGoTo事業などを続けていたことも、結果的に病院がひっ迫し、多くの人が入院が必要でも入院できないような状態になってしまいました。今までの経験を生かすという意味では、波が大きくなってから気をつけるのではなく、早期にみんなで感染の拡大を止めないといけません。そうでないとまた多くの犠牲者を出してしまいます。
すでに第4波は始まっています。この波が大きくならない様、今からみんなで気をつけていきましょう!ただ行動制限するのではなく、これまでの経験と知識を生かした感染対策をしながら、できる範囲の経済活動をして、日常生活を楽しむことが重要です。
ここの所秩父地域は、新規感染者は時々出ても拡大はありません。ただこれまでの波を見ると、都心部で感染者が増えれば秩父にも必ず波が来ます。第3波では偶発的な流入からクラスターも発生してしまいました。もちろん一人一人が感染しない為に感染予防することが重要ですが、万が一自分が感染してしまっても人にうつさない様注意してください。高齢者のワクチン接種が完了する予定の7月までは秩父地域に大きな波を作らないことが目標です。『うつらない』『うつさない』行動を引き続きよろしくお願いします。
最近は《変異株》の話が良くニュースになっています。変異株の拡大は本当に驚異的で、その問題点について書いてみます。
(1)変異株は従来の新型コロナウイルスより感染力が強い
1人の人が新型コロナに感染した場合に何人に感染させてしまうかを計算すると、変異株では1.3~1.7倍の感染力があるとされています。実際にヨーロッパでは変異株の流行により、従来の感染対策をしていても感染拡大が起こり、フランスやドイツでは現在も増加傾向にあります。アメリカも一時減少傾向でしたが、高い水準のまま下がりどまり、今はやや増加傾向にあります。日本にもすでに変異株が入り込んでいますが、変異株が主流になると今まで以上に急速な感染拡大が起こる可能性が懸念されます。大阪などでの流行は変異株の影響もあるのではないかとされています。
(2)変異株は重症化や死亡のリスクも高くなる
イギリスではイギリス株といわれる変異株が大流行しました。この変異株は重症化率も高くなることが懸念され、死亡率は64%増加したと言われています。ほかの変異株はまだ明らかなデータは出ていませんが、重症化や死亡のリスクは上がっている可能性があると言われています。
(3)変異株はこどもに感染しやすい
従来の新型コロナウイルスはこどもにはうつりにくく、うつしにくいとされていました。そのため幼稚園・保育園・学校などのでの集団感染は比較的まれでした。しかし、変異株ではこどもへの感染力が増加していると言われています。現時点ではこどもに対する重症化の危険性は明らかになっていませんが、感染者数が増えれば当然一部に重症化がみられる心配があります。また元々こども同士は日常生活で密になる状況が多い為、集団感染が起きやすく、こどもを介して社会全体に大きく拡大する可能性があります。そのため変異株の流行により、再度休校や休園などの措置が必要になる可能性もあり、そういった面でもこども達に大変な悪影響が出ることが心配されます。
(4)変異株の種類によっては現在開始されているワクチンの効果が減弱したり、ほぼ無効になる
変異株の中にはすでに接種が始まっているワクチンで獲得できる免疫を逃避するものが出てきています。ワクチンの接種を広げることで、今後の感染拡大・重症化などを予防することを目指していますが、変異株の拡大によりワクチンの効果が限定的になってしまう可能性があります。そうなるとワクチン接種が進んでも私達の生活の制限は緩和できなくなってしまいます。何とかそれは避けたいところです。
《今できること》
現在変異株の検査は、新型コロナ感染者の5~10%にされています。国は今後40%程度まで増やそうとしていますが、現時点では変異株の全体像はつかめていません。地域ごとに色々工夫して変異株の拡大を防ぐために対策が取られていますが、全国的に徐々に拡大してきています。
今は変異株だけ注意して防ぐことはできません。すべての新型コロナウイルスの感染を防ぐことで日本国内での変異株拡大を何とか防がなければなりません。感染防御の方法としては従来のウイルスと大きな変わりありません。『マスク』『手洗い・消毒』『換気』『3密の回避』を今まで通り徹底していただくことをお願いします。
今月下旬から65歳以上の方に対してワクチン接種が開始されることが決まりました。対象となる方は是非接種を前向きに検討してください。変異株の拡大を抑え、ワクチン接種が進むことで元の生活に近づけることを願っています。
羊山の桜です。
長瀞の桜並木です。
2021年秩父地域と新型コロナ(8)
西日本から例年に比べ1‐2週間早く桜前線が北上してきています。秩父の桜も今年は早めに咲きそうです!芝桜も楽しみですね。
昨日の秩父市は最高気温18℃、最低気温0℃でした。20℃近い寒暖差は全国的にも珍しく、厳しい気候です。こまめに温度調整をして風邪などひかないようにどうぞ気をつけてください。
私はいつもみなさんに注意を呼び掛けていますが、実は毎年ヒノキ花粉が飛び始めるころに花粉症が悪化してのどの痛みや咳が出るようになります。ここ数日とても鼻詰まりがひどく、夜間にのどの痛みで目が覚めてしまいます。今は声がガラガラになってしまいました。熱などはないものの、こんなご時世なので、念のため新型コロナの抗原検査・PCR検査も受けましたがもちろん陰性でした。こんな時にはなかなか特効薬もなく、自分の回復力とのど飴の力を信じて過ごしています。
さて、今日は秩父市の新型コロナ対策について書いてみたいと思います。以前から書いていますが秩父地域はこれまで、市中での大きな感染の拡大は起こっていません。2021年の年始は同時多発的に感染者がたくさん出ましたが、概ね家庭内で収束し、職場内・学校内・飲食店などでの大きなクラスターは起きませんでした。これは本当に住民のみなさん一人一人の努力の賜物です。都心部での匿名性というのが感染拡大の原因として取り上げられていますが、秩父の皆さんは地域のつながりが強い分、自分だけではなく家族や地域の人を守るという意識が強いと感じています。非常に誇らしい事だと思います。
同時に行政も地域での感染を抑えるために様々な対策をしています。秩父市は市長が医師ということもあり、全国に先駆けて様々な独自の事業が行われています。私は医療に関わるところしかわからないので、医療に関わる部分だけですが、その取り組みを取り上げてみます。
①感染防止用品3点セット配布
秩父市では市内全戸に電子体温計・消毒液・不織布マスクの配布が行われました。85%程度の配布がすでに終了している様です。新型コロナ流行初期のマスク不足は本当に深刻でした。我々医療機関も購入することができず、本当に困った時期はスタッフ用に50枚のマスクを4000円くらいで購入したこともありました。市からマスクが配布された頃には大分手に入りやすくなっていましたが、消耗品なのでありがたく、普段使い用に使わせていただきました。診療をしていても、配布された“out”と書かれたマスクをして来られる方をよく目にしました。一時は手作りマスクの方が多く、個性的でおしゃれだったので、それはそれでとても楽しかったのですが、最近は不織布マスクの方が予防効果が高いことも指摘されているので皆さんも助かっているかと思います。人と会話しない外出の時は布マスクでもいいと思いますが、人と会話する外出の時はなるべく不織布マスクをしてください。二重にするときは不織布マスクを下に布マスクを上に着けるようにしましょう。
体温測定する機会も増えました。毎朝出勤・通学前に検温をして下さっている方も、コロナ以前よりずっと増えています。朝の貴重な時間の中で体温計の順番待ちは大変なので、家庭に一本体温計が増えたのは良かったのではないでしょうか。私の家は診療所がすぐ近くなので、実は体温計を持っていませんでした。何となくあると安心です!大切に使おうと思っています。
マスクと手指消毒、日々の体調管理の重要性を啓蒙するという意味でも、3点セットの配布は良かったと思います。皆さんもマスク・手指消毒の徹底を引き続きお願いします。
②感染症検査費助成金
65歳以上の方、基礎疾患のある方に対しての自費でのPCR検査に補助金(最大2万円)を出すという事業です。重症化しやすいとされる方を守る為に開始されました。PCR検査は原則として新型コロナの感染が疑われる人、濃厚接触者と判断された人、接触アプリ(COCOA)で通知が来た人に対して行われます。その場合は公費での検査対象となり、自己負担はありません。しかし、それ以外でも仕事の都合や感染が心配な方などに対して、希望に応じて検査を行う場合があり、それは自費での検査となります。一般的にPCR検査は検査自体にかかる費用、検体搬送の費用、検体を扱うリスク管理にかかる費用などもあり、医療機関で行う場合は概ね25000円~30000円程度と高額です。その一部を市が助成してくれるという制度です。この検査は医療機関で行われる為、公費での検査と全く同じ精度の検査を受けることができます。
PCR検査は検査時点での感染の有無を確認するのに有用ですが、結果は絶対ではありません。また、適当にとりあえず一回やっておくというのは、検査翌日に感染する可能性もあるので意味がありません。検査の限界と目的を考えて受けることが大切です。市のホームページにも載っていますが、『息子や孫が帰省して接触したが、デイサービスなどを利用する前に検査を受けたい』『冠婚葬祭など、大勢の人が集まる機会があるため事前に検査を受けたい』『施設などに入所する前に一度検査を受けたい』などタイミングを見計らって検査をすると有用だと思います。
③PCR検査キット提供
現在秩父市では秩父市在住の方・秩父市勤務の方を対象に一人1000円でPCR検査を受けることができるという事業です。なるべく早く新型コロナ感染者を発見して拡大を防ぐために始められました。こちらは年齢や基礎疾患に関係なく対象になります。すでにキットの提供が開始されており多くの方に利用されている様です。自分で唾液をとって検体を郵送して検査に出し、[高リスク][低リスク]という形で結果が出ます。
こちらも②と同様ですが、とりあえず1000円ならやってみようというのはあまり有用ではありません。PCR検査は基本的にクラスターを予防することが目的です。高齢者施設のスタッフの方や病院のスタッフの方、訪問看護・介護スタッフの方などが感染拡大防止の為PCR検査を受けられると良いと思います。ただその場合は定期的に複数回受けられると良いです。
特にそれらの職業に該当しない方は『《1》冠婚葬祭などで人が集まる場所に行った後に感染していないか調べたい』『《2》久しぶりにおばあちゃんに会いに行く前に1回検査しておきたい』などの時に検査をすると良いと思います。《1》のようなあの時感染してしまったのではと心配な場合は、その日の4日後(翌日を1日後とします)~8日後に検査を受けると比較的有用です。《2》のような念のため事前に調べておきたい場合はその日のなるべく近い日(結果に2日ほどかかるので3‐4日前くらいに提出)が良いと思います。もちろん提出後の数日間に感染する可能性もあるので注意してください。いずれの場合も検査の精度の限界があるので、〔低リスク〕という結果でもいつも通りの感染予防は続けてください。※感染者に接触した可能性があって、かつ気になる症状が出た方は医療機関で相談しましょう。
④医療機関・薬局緊急特別支援金事業
医療機関や薬局は新型コロナの発生により、今までにない感染対策が必要となりました。当然の事ですが、新型コロナを含む、風邪症状の人が最も集まる場所です。発熱外来を新たに設置したり、オンライン診療の準備をしたり、施設内での患者さん同士の感染やスタッフへの感染などを防止する為に様々な対策を講じたりと対応に追われました。今後も継続して安全な医療が提供できるようにとのことで秩父市から支援金が支給され、感染対策に有効に活用されています。
⑤秩父市赤ちゃん・妊婦さん応援給付金
新型コロナの発生以降、出生した赤ちゃんや妊娠した妊婦さんを対象に応援給付金が支給されています。コロナ禍で生活が不安定になったり、周囲からの支援が受けにくくなったため、全国的に出生数は減少傾向にあります。そんな中で出産や妊娠をしているお母さんと赤ちゃんを支援する目的です。給付金だけでなく、先行きの不安が大きい中で行政が子育てを応援してくれているという意思が伝わる良い事業だと感じています。対象になる方は是非申請してください。医療と直接の関係はありませんが、私は秩父地域の子育てを応援したいと思っているので取り上げてみました。
⑥新型コロナワクチンの『秩父方式』
新型コロナワクチンの接種が開始されようとしています。テレビなどでもよく取り上げられていますが、秩父地域は秩父市・横瀬町・皆野町・長瀞町・小鹿野町が一体となって、どこの地域の人がどこの地域の接種会場でもワクチン接種が受けられるように準備が進められています。これは元々市町をまたいでかかりつけを持っている秩父地域にとってはとても良いシステムです。一方でおそらく市や町の職員の方たちからすると、非常に業務が複雑になり大変なことだと思います。地域の皆さんの為に手間を惜しまず『秩父方式』を実現しようとしてくださっている行政の方たちには本当に感謝しています。今後のワクチン事業には行政と医師会の連携が非常に大事になってくるので協力して頑張っていきます。
市報などでご存じの方が多かったと思いますが、上記の通り秩父市では新型コロナ対策としてたくさんの事業が行われています。使い方次第でどれもコロナを乗り越えるためにとても有用な事業です。
これらの事業も上手く利用して、引き続き秩父で安心して生活できるように活かしていただければと思います。
引き続き秩父地域をみんなで守っていきましょう。
秩父地域の医療の特徴の一つとして、行政との連携の良さがあります。これは秩父市だけではなく横瀬町・皆野町・長瀞町・小鹿野町とも良好な連携をしています。秩父の三師会(医師会・歯科医師会・薬剤師会)の幹部と、一市四町の首長、各市町の医療対策などの部署の担当者が定期的に秩父地域の医療について話し合いを持っています。このような三師会と行政が緊密に連携することは当たり前の事の様ですが、実は他の地域ではなかなか見られないことです。秩父地域は限られた医療資源を最大限に活かすために“秩父の医療は一つ”のスローガンの下に協力して一緒に頑張っています。
私は秩父市役所の産業医もしていますが、コロナ禍の行政の仕事は本当に大変です。目まぐるしく変わる感染状況と国の方針に振り回され、様々な国や県の事業を実行しつつ、市独自の事業も考え・実行して、我々市民のくらしを守るために頑張って頂いています。時には時間外労働が多すぎて産業医の私に休みを取るように注意を受けている方もいる状況です(もちろんやむを得ない残業なのですが)。
行政の皆さん・保健センターの皆さんには引き続き体に気をつけて、医師会と共に頑張っていただきたいと思います。今後ともよろしくお願いします。
2021年秩父地域と新型コロナ(7)
花粉症がいよいよ本格化してきました。
今年のスギ花粉のピークは3月中旬までの予想です。ただこれはあくまでピークなのでピークを過ぎても収まるまではしばらくかかるので注意は必要です。でももう少しで減少傾向になると思うと少し前向きになれますね。ヒノキ花粉は4月初旬から中旬にかけてピークが来ると思われます。ヒノキ花粉症もある方はまだしばらく辛い時期が続きます。外出時のマスク・メガネ、帰宅後の洗顔・着替え、洗濯物の中干しなど単純な事でもとても大切です。花粉を回避できるよう注意していきましょう。
最近は花粉症の市販薬も充実してきており、市販薬で治療している方もたくさんいらっしゃいます。多くの薬は使用して問題ないと思いますが、市販の点鼻薬は即効性があるものの、長期の連用により効きにくくなったり、鼻粘膜の機能に障害をきたすものもあります。用法を超えて使用しない様にご注意下さい。度々使用しないと症状の辛さが取れない様ならご相談ください。
花粉症の症状は鼻炎症状・結膜炎症状が有名ですが、咽頭炎症状や咳症状が出る方も多く見られます。また眠気や倦怠感など他人からはわからない辛さもあります。花粉症薬はそういった症状を軽減してくれますが、薬の副作用として眠気が出たり、集中力や記憶力の低下が出たりすることもあるので注意が必要です。花粉症が重い方にとってはとても辛い時期が続きますが、なんとか乗り切っていきましょう。私自身も花粉症とてもひどいので親身にご相談に乗ります。
さて新型コロナに関してですが、首都圏を中心に完全に新規感染者数は下がり止まってしまいました。また、人の流れは明らかに増加傾向であり、今後は感染者数も増加に転じる可能性が非常に高くなってきました。皆さんも最近はコロナのニュースを見ても目新しさがなくなり、あまり現実感を持って危機意識がわかなくなっているのではないでしょうか。春の訪れと共に、そろそろ少しくらい外出してもいいのではないかと思っている方も多い印象です。街を見ても秩父を訪れる観光客の数もかなり増えて来ており、賑わっているのは嬉しい反面、第4波が心配になってしまいます。
状況を変えると言われているワクチンも諸外国に比べて接種進んでおらず、変異株の拡大などの悪いニュースばかりが流れてきます。相変わらずちっともゴールが見えない状況に嫌気が差してきますね。私も日々の診療の中で受診される皆さんに我慢我慢と言い続けるのも限界が来ていると感じています。
緊急事態宣言が解除されるかどうかはわかりませんが、これまでずっと我慢されていて、これから少しずつ外出や人との交流を再開しようと考えている方は、是非今後も一定の注意を守っていただく事をお願いします。秩父地域での流行は落ち着いていますが、ルールを守って安全に楽しむ事を是非お願いします。
①飲食を伴う交流は特に注意してください。できれば飲食を伴わない交流を心がけてください。会うとどうしても一緒にご飯を食べたくなるものですが、飲食は極力我慢してください。特に長時間の飲み会などは控えてください。
②大人数での交流は控えてください。また、少人数でも人と会う時は常に相手の事を守る意識を持って、お互いが「うつさない」「うつらない」気持ちで行動してください。
③遠方への外出は控えてください。大きく地域を超えての外出は避けてください。変異株の拡大の各地で方向されています。全国的な感染拡大を起こさない為に、なるべく近場で楽しむ事を考えてください。(現状では隣県より先には行かない様にしていただきたいと思います。)
④外出時はなるべく不織布マスクをして下さい。二重マスクにする時は不織布マスクをしてその上に大きめの布マスクをしてください。マスクの花部分や脇に隙間ができない様に注意して下さい。
⑤いかなる時も3密を避けてください。密集・密閉・密接いずれも避ける様にして、目標は0密です。どうしても密集する場合はしっかり換気をして、どうしても密接になる場合は手洗い消毒・マスクを徹底するなど、常に“密”がないか、どうしたら“密”を避けられるかを考えて行動してください。
みんなでルールを守れば感染拡大を防ぎながらある程度の交流ができます。再度感染拡大すると今まで以上に行動制限は厳しくなってしまいます。一部のルールを守らない人達の為に、社会全体が厳しい制限を強いられることがない様にみんなで頑張っていきましょう!
現在秩父地域では秩父方式と言われるシステムが秩父市長から提唱され、準備が進んでいます。これは秩父市・横瀬町・皆野町・長瀞町・小鹿野町が連携して地域内の方がどの市町でも新型コロナ予防接種が受けられるというものです。秩父地域の方が安全にスムーズに接種していただける様に行政と医師会で頑張っていきます。
桜の季節が来ます。普段から秩父愛が強いのですが、毎年桜の時期になると秩父は本当に良いところだと強く感じます。昨年は雪の中の桜を見に行ったので、一足早くその時の写真を載せてみます。
早く秩父地域に春がきます様に!
2021年秩父地域と新型コロナ(6)
寒暖差の大きい日々が続いています。梅の花も咲いて春の訪れを感じる一方で、朝の寒さは厳しい状況が続いています。
花粉症もいよいよ本格的になってきました。今年はかなり症状が重い方が多い印象です。私自身飲み薬と点鼻薬と点眼薬を使用していますが、それでも目玉を洗いたくなるくらい目が痒くなったりしています。最近は花粉症の薬もとても良くなってきています。眠くならなくて良く効く薬も出てきているので辛い方は我慢せずにご相談下さい。
さて、緊急事態宣言が延長されることになりそうです。
第3波は大分落ち着いてくる傾向でしたが、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県では明らかに減少が鈍化して横ばいになっています。現在も東京では300名/日、他の3県では100-150名/日とかなり多い新規感染者が持続しています。一時期全国で8000人近かった新規感染者数が、現在1000人を切るくらいになってきていますが、首都圏だけで見るとかなり不穏な空気流れています。
2021年1月7日から2回目の緊急事態宣言が出されました。緊急事態宣言の主な内容は①不要不急の外出自粛②イベントの開催制限③飲食店などの施設使用制限です。緊急事態宣言が出されてから1月初旬をピークに新規の感染者は徐々に減少傾向となりました。今回第3波が収まってきた要因は明らかになっていませんが、恐らくはこれらの宣言の中身というよりは、飲食の場での注意が呼びかけられ、個人個人が会食などの機会を減らし、感染対策への意識を高めたことが有効であったと思われます。そういう意味では、政策自体に効果があるわけではなく、国民一人一人の感染対策によって第3波を抑えられてきたということです。皆さんの努力と我慢は本当に賞賛に値します。
秩父地域の中でも年末から大きな波がありましたが、概ね収束しています。これは一重に秩父地域の皆さんの努力の賜物です。皆さんのご協力に心から感謝しております。
逆の見方をすると、これから緊急事態宣言が延長されても、それだけで感染が収束に向かうわけではありません。今後さらに減少させられるかについてはまだまだみんなで頑張っていく必要があります。緊急事態宣言という言葉に慣れて、一人一人の行動にゆるみが出れば、間違いなく再拡大してしまいます。何とかこのまま第4波に突入してしまう様なことがないよう、引き続きの感染対策よろしくお願いします。
今懸念されるのは大きく2点です。①感染者数が減りきらない状況の中で再拡大が起こると短期間で大きな波になってしまう事です。医療機関の病床の余裕はまだ十分にできていない為、今再拡大すると第3波のピーク時の様に救える命が救えなくなってしまうかもしれません。②もう一つは変異株の拡大です。変異株は感染力が強いものやワクチンの効果が出にくいものがあると言われています。全国で変異株の確認が増加しており、今変異株を含めた新型コロナを抑え込まないとワクチンを打っても事態が収まらなくなってしまうかもしれません。
6月末までには高齢者のワクチンはいきわたる予定とのことです。高齢者の接種が完了すれば、ある程度の流行が起こっても重症化したり亡くなってしまう人は大きく減らせる可能性が高くなります。そうなれば行動制限もある程度緩和できるはずです。それまでは何とか大きな波を起こさないようにがんばりましょう!我々医療者もなるべくスムーズにワクチン接種ができるよう行政とともに頑張っていきます。
ずっと我慢のお願いばかりですが、引き続き我慢どころです。何卒よろしくお願いします!
新型コロナウイルスワクチンについて:2021年秩父地域と新型コロナ(5)
大分太陽が出ている時間が長くなってきました。
日が伸びてくると、一日が長い感じがして少し得をしている気分になります。特に春らしい日差しを浴びると、何か良いことがありそうな気がしてわくわくします。花粉症も本格化してきますが、春の訪れはうれしいですね。
さて、連日報道されていますが、日本でも新型コロナウイルスのワクチン接種が開始されました。なかなか出口が見えない新型コロナとの闘いの中で、希望の光であることは間違いありません。最近ワクチンについてもかなりわかりやすく情報が出てきました。個人的には『こびナビ』という情報サイトの説明はとてもわかりやすいと思いました。https://covnavi.jp/faq_medical/
色々な所からの受け売りですが、現時点でわかっているワクチンに関する事について、ここでも少し書いてみます。
《新型コロナウイルスについて》
新型コロナウイルスは(1)殻の部分、(2)とげの部分、(3)中身(RNAという遺伝子)でできています。よくテレビなどにも出てきますが、ヒトの体に入ったウイルスはとげの部分でヒトの細胞にくっつきます。くっつくとヒトの細胞は自分の中にウイルスを取り込みます。ヒトの細胞の中には元々細胞を増やすための工場があり、ウイルスが入ってくるとその工場でウイルスを大量生産(コピー)してしまいます。ヒトの体の中でウイルスがどんどん増えると、次々と色んな細胞が壊されてしまい、病気になってしまうのです。この仕組みは新型コロナだけでなくウイルス全般に共通しています。
《免疫について》
免疫とは元々体の外から入ってくる敵に対して、ヒトが持っている武器です。ウイルスが体に入ってくると、ウイルスを大量生産するとともに、それを排除するための免疫が働き始めます。その機能はいくつかありますが、代表的な機能として、ウイルスのとげの部分にくっついて、悪さをできなくするための抗体というものを作れるようになります。ウイルスを取り込んだ細胞が、ウイルスをコピーする過程でその設計図(RNA)の情報を免疫細胞に伝えます。その免疫細胞が抗体を作り、ウイルスが悪さをするのを食い止めてくれます。免疫の力でウイルスを抑え込むことができれば、病気としても改善して元気になっていきます。一度ウイルスに感染すると、しばらく同じウイルスにかかりにくくなるのは免疫の力で抗体ができているためです。また、抗体を作るための記憶は体の中にある程度の期間留めておくことができ、一度抗体が体からなくなってしまっても、再度ウイルスが入ってきた時にすぐに量産できるようになります。(ただウイルスの種類によって、免疫力が残っている期間は異なります。)
《ワクチンについて》
ワクチンは、ウイルスに感染しなくても抗体を作れるようにしよう!というものです。今まであったワクチンは、ウイルスを弱く(弱毒化)した生ワクチンと、ウイルスをバラバラに壊した不活化ワクチンの二種類に分類されます。これらのワクチンを体に注射すると、体の中の免疫が働いて、抗体を産生します。抗体ができると、本物のウイルスが体に入ってきた時に感染しなかったり、重症にならなかったりするという良い効果があります。しかし、これらの生ワクチン・不活化ワクチンを作るには長い時間がかかるという問題がありました。
《新型コロナワクチンについて》
新型コロナのワクチンはmRNAワクチンという全く新しい方法で作られています。この方法自体は20年くらい研究されてきていたようですが、ワクチンとして完成したのははじめてです。mRNAというのはウイルスの中身(RNAという設計図)の一部を切り取ったものです。ウイルスのとげの部分の設計図だけをワクチンにしています。このmRNAワクチンを注射すると、mRNAがヒトの体の細胞に取り込まれます。細胞の中でその設計図を使って、ウイルスのとげの部分だけが作成されます。できたとげの部分に対して免疫機能が働いて、抗体を産生します。この手順でウイルスに感染したときと同じように、ウイルスのとげに対する抗体を体の中に獲得することができます。※mRNAはメッセンジャーアールエヌエーと読みます。(ここではファイザー社、モデルナ社のワクチンについて説明しました。アストラゼネガ社の物は少し異なります。)
《新型コロナワクチンの有効性について》
これまで出てきている情報からは、新型コロナワクチンはとてつもなく有効なワクチンです。接種後は発症の危険性が20分の1になり、重症化はほとんど起こらなくなるとされています。現時点では感染した時に人にうつしにくくなるかは定かでありませんが、少なくとも自分を守る為には極めて有効なようです。
《新型コロナワクチンの安全性について》
新しい製法の新しいワクチンということで不安を感じる方も多いと思います。私も当初は「大丈夫かな?」と思っていました。ですが現時点では結論から言うと、新しい新型コロナワクチンはとても有効で、安全なワクチンの様です。上記の通り、ウイルス自体を体に入れるわけではない為、感染の心配はありません。またワクチンに使われている成分は、これまでも薬の添加物などとして日常的に人体に投与されていて大きな問題が出ていないものです。怪しいものは入っていない様です。RNAを体に入れることで自分自身の遺伝子(DNA)に影響が出るということは絶対にないそうです。
接種後に抗体を作る為に、免疫反応(炎症)が起こります。その為どうしても注射したところが腫れたり痛みが出ます。また免疫反応(炎症)によって、熱が出たりだるくなったりします。新型コロナワクチンはそのような副反応は半分以上の人に見られるようですが、基本的に数日で自然に良くなるそうです。
重大な副反応としてはアレルギーがあります。重いアレルギー症状が出た人が10万人に1人程度報告されています。どんなワクチンにもアレルギーの危険性はありますが、すでにあるインフルエンザなどのワクチンと比較して5-10倍程度多いようです。ただ、日ごろ皆さんが使う事のある痛み止めや抗生物質と比べると1/100程度の危険性とのことです。十分に用心することは必要ですが、めったに起こらないことの様です。
ワクチンの副作用はほとんどが6週間以内に出ると言われています。新型コロナウイルスワクチンも打ってから数時間から数日で成分は消失し、免疫反応も4週間程度で終了します。長期での副作用の可能性は0とは言えませんが、大きな副作用がのちのち出る可能性は低いとのことです。
《打ってはいけない人》
現時点ではほとんどの人が接種可能と言われています。(16歳未満のこどもは対象外です。)新型コロナワクチンを打ってはいけない人は、過去に強いアレルギー症状が出たことのある方です。薬や食べ物、予防接種などで強いアレルギー症状は出たことのある方は医師とよくよく相談して打つかどうかを判断してください。花粉症やじんま疹程度のアレルギー持ちの人は原則接種可能です。持病があってもほとんどの人が打って大丈夫です。心配な方は今から主治医の先生に相談しておいてください。
妊娠中・授乳中の人はこれまでの研究では接種対象に入っていません。理論上は問題ないようですが、もう少し情報が集まってからに打った方が良いと思います。
《まだわからないこと》
これまでの経過で新型コロナウイルスワクチンがどのくらいの期間有効かはわかっていません。また、みんなが打つと本当に新型コロナを終息できるのかもわかっていません。今はワクチンを打つことで、新型コロナにおびえていなければならない世界を変えられる事を信じて、接種を進めていこうという状況です。
現時点では、新型コロナワクチンはとても有効で、安全だと思われます。私が尊敬し、信用している医師達も全員ワクチンを打つと言っています。私は自分と家族にも打ちたいと思っています。
多くの人がワクチンを接種して、みんなで安心して生活できるようになることを心から願っています。
新型コロナワクチンに関する情報がこれから日本での接種が進み、さらにワクチンについての情報は増えてきます。自分の順番が近づいてきた時に不安を感じることもあると思います。打つかどうか、最終的にはご自身の判断ですが、迷った時は主治医・かかりつけ医などに相談してください。
引き続きの個人個人の感染対策(マスク・手洗い・換気・人混みを避ける)もよろしくお願いします。
日本脳炎ワクチンについて
日本脳炎ワクチンについてお知らせします。
現在日本脳炎ワクチンが全国的に不足しています。製造元からの出荷数が減少しており、安定した供給が困難になっています。
その為、全体的な方針として以下の方を優先する方針となっています。
(1)3歳の初回・2回目接種
(2)4歳~7.5歳で打つべき3回目の接種または9-12歳で打つべき4回目の接種の期限迫っている。
※3回目は7.5歳まで、4回目(追加)は13歳までに接種しないと定期接種になりません。
(1)(2)以外の方は、現状では接種を待っていただくことになっています。
ただ、対象となる場合でもワクチンの供給が非常に不安定である為必ず予約できるわけではありません。
申し訳ありませんが、お電話にてお問い合わせください。よろしくお願いします。
2021年秩父地域と新型コロナ(4)
2月に入り春のような日と冬のような日が入り混じるようになってきました。
寝る時と起きる時の体感温度が大分違う日も多くなっています。寒暖差で体調を崩さぬよう気をつけてお過ごしください。
秩父地域における新型コロナウイルスの感染は、おかげさまで大分収まってきています。感染経路のわからない新規感染はほとんど見られなくなってきました。前回も書きましたが、秩父地域の皆さんは真剣に感染対策を頑張って下さり、多くの楽しみを我慢して下さったので、その成果がでてきています。ご協力本当にありがとうございます。
ただ、ご存知の通り秩父地域でも大きなクラスターが起こり、現在もその収束に向けてものすごく頑張ってくださっている方々がいます。秩父地域の高齢者医療における最重要拠点である施設での感染は地域全体にとって大きな問題です。この事態が1日でも早く収まる事をみんなで願い、できるサポートをしていきましょう。
年末年始からの大きな感染の拡大は全国的にも減少傾向です。ただ緊急事態宣言は延長となりました。これはしっかり感染者を減らしてから解除しないとすぐに第4波が来てしまう恐れが高いためです。また、イギリスなどではイギリス株といわれる変異株によって非常に大きな感染拡大がありました。日本でも変異株が少しずつ発見されており、クラスターも発生しています。これが流行の主流になると今まで通りの感染対策をしていても第3波を超える大きな波が来てしまう事が心配されています。現時点ではこの第3波をしっかり押さえこむことが何より重要です。変異株を含む新型コロナが一旦日本からいなくなるくらいまで抑え込みたいところです。ワクチン接種が広がるまでの間に、再度大きな波が起こらないように、今しばらく徹底した感染対策をお願いします。
上記の通り秩父地域ではすでにある程度収束してきています。しかし、埼玉県として緊急事態宣言が継続している最中です。秩父地域は都心への通学・通勤など生活圏を共有しています。また病院などの医療体制は埼玉県全体で調整が行われており、秩父地域にとってもまだまだ医療体制は非常にひっ迫していると言えます。秩父地域内で感染拡大が収束してきていることは非常に良いことですが、一方で緊急事態宣言は全く他人事でないことも理解して、特に地域外との交流には最大限の注意を継続してください。
現時点での秩父地域では基本的な感染対策(※)をした上であれば、ある程度の人との交流は可能になってきていると思われます。(個人的な見解です。)
(※)自宅以外では必ずマスクをする。人が複数名いる屋内は必ず持続的に換気する。人が触れた可能性のある物に触ったら必ず手洗い・消毒をする。
《秩父地域の皆さんの行動について》
◎飲食を伴わない地域内の人同士の交流は比較的安全と思われます。会ってお互いマスクをして会話するなどはしても良いと思います。
(注)感染予防の対策(アクリル板での遮蔽+換気など)をせずに飲食をともにしないでください。(『親しき中にも感染対策』を徹底してください。)
◎秩父地域内であれば、趣味の集まりや運動の集まりなどを再開しても良いと思います。
(注)同居している方以外とはマスクを外しての会話は避けてください。マスク・換気は徹底してください。大人数にならないようにしてください。
◎秩父地域内在住の家族との交流はしても良いと思います。
(注)しかし家庭内感染は多いので、お互いが体調に問題がないこと・感染リスクのある接触機会がないことなどを確認し、お互いを守る意識で交流してください。
◎秩父地域外への往来は引き続き極力控えてください。
⇒現在も緊急事態宣言の最中です。特に都心部への往来は必要最低限にしてください。
◎感染してしまったり、濃厚接触者になり大変つらい思いをされた方がたくさんいます。その方たちが早く普通の日常を取り戻せるよう、みんなでサポートしていきましょう。
制限の緩和は少しずつ少しずつ、慎重にしていかないといけません。まだまだ制約と不安の多い毎日ですが、安全に支えあって生活をしていければと思います。
秩父地域全体が安心した日常を取り戻せるよう、引き続きの御協力よろしくお願いします。
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